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ストレスと腹痛

ストレスが増えると
お腹が痛くなるのはなぜ

ストレスが増えるとお腹が痛くなるのはなぜ「ストレスでお腹が痛くなる」という話は、一般的な会話の中でも聞かれます。多くの方が、ストレスと腹痛には何か関係があるんだろうということをご存じですが、医学的にどうであるか、ということはあまり知られていません。
このページでは、ストレスと腹痛の医学的な関係、関連する疾患や検査などについてご紹介していきます。
ストレスは、以下のようにさまざまな経過から、腹痛を引き起こすことがあります。

自律神経の
バランスが乱れる

ストレスが溜まると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れます。
すると、消化管の働きが悪くなったり、消化液の分泌量が減少したりといったことが起こります。これにより、腹痛や消化不良などの症状が引き起こされることがあります。
また、腸の働きが過剰になり、腹痛を引き起こすケースも見られます。

胃や腸が過敏になる

ストレスが溜まることで、胃や腸が過敏になり、わずかな刺激(内容物や便の通過など)によって腹痛が生じることがあります。

免疫系の過剰な反応

ストレスが溜まると、免疫が過剰に反応し、腸で炎症および腹痛などの症状を引き起こすことがあります。

暴飲暴食する

ストレスが溜まって暴飲暴食してしまう人も少なくありません。胃腸にはそれだけ大きな負担がかかることから、腹痛や胃もたれ・胸やけなどの症状が引き起こされることがあります。

どんな腹痛?症状チェック

どんな腹痛?症状チェック受診の際には、分かる範囲で結構ですので、「どんな腹痛であるか」を医師に伝えましょう。腹痛の種類によって、必要な検査が変わってきます。

腹痛が起きたら症状・
特徴・環境を
確認してみましょう

腹痛の特徴をチェック

  • 痛みは鋭いか・鈍いか
  • お腹のどのあたりが痛いか
  • 痛む位置は変わらないか
  • いつから痛み始めたか
  • 痛みの強さに変化はないか
  • 身体の向きや姿勢によって痛みは変わらないか
  • 腹痛以外の症状(発熱、胸やけ、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、血便)はないか

心当たりのある
原因をチェック

  • 生もの、腐っているかもしれないものを口にしていないか
  • 暴飲暴食をしていないか
  • アレルギーはないか
  • 細菌やウイルスの感染の可能性はないか
  • 基礎疾患はないか
  • 服用中の薬の有無や種類
  • ストレスを溜めていないか
  • 妊娠の可能性はないか
  • 性感染症の可能性はないか

腹痛が起きた時の受診の目安

たとえば暴飲暴食を原因とする腹痛などは、比較的短期間で治まり、治療が必要になるケースは稀です。
ただ、特に心当たりのない急激な腹痛、軽度であるけれど1週間以上続く腹痛、一時的に治まるけれど繰り返す腹痛については、何らかの疾患を疑い受診するようにしてください。

緊急性の高い・早急に
受診すべき腹痛

特に以下のような腹痛は、早急な治療が必要になる可能性があります。

  • 立っていられないほどの強い腹痛
  • 激しい下痢と腹痛が止まらない
  • だんだんと強くなっていく腹痛
  • 発熱、胸痛、吐き気、嘔吐、吐血、冷や汗、意識低下などを伴う腹痛

腹痛を伴う疾患

上腹部

逆流性食道炎

胃の内容物が胃酸とともに繰り返し逆流することで、食道粘膜で炎症が起こる病気です。
胸やけ、胃もたれ、ゲップが多い、胸やみぞおちの痛み、飲み込みづらさなどの症状がみられます。

急性膵炎

アルコールや胆石によって膵臓の自己消化が起こり、膵臓が浮腫んだり、出血したり、壊死したりする病気です。
上腹部痛に加えて、背中まで痛みが広がることがあります。その他、嘔吐や発熱などの症状もみられます。

胃・十二指腸潰瘍

ピロリ菌の持続感染、非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の服用などによって、胃や十二指腸の粘膜で潰瘍が生じます。
胃やみぞおちの痛み、胸やけ、胃もたれ、ゲップ、吐き気、吐血・下血などの症状がみられます。

急性虫垂炎(盲腸)

みぞおちの痛みや食欲不振、吐き気などの症状を伴います。その後痛みが右下腹部へと移動するという特徴的な症状を伴います。腹膜炎を合併した場合には、発熱がみられます。

急性胃炎

胃の内容物が胃酸とともに繰り返し逆流することで、食道粘膜で炎症が起こる病気です。
胸やけ、胃もたれ、ゲップが多い、胸やみぞおちの痛み、飲み込みづらさなどの症状がみられます。

急性腸炎

細菌やウイルスの感染が原因となる起こす病気です。
腹痛、嘔吐、下痢などの症状がみられます。

急性胆嚢炎

急性胆のう炎の原因の約9割は胆のう結石といわれています。
みぞおちから右わきにかけて痛みが出てきます。
また炎症が悪くなると発熱することもあります。

狭心症/心筋梗塞

多くは動脈硬化原因となります。動脈硬化は年とともに起こりやすく、糖尿病、高脂血症、高血圧、腎臓病、喫煙、生活習慣、肥満がや体質が原因となります。
動脈硬化による狭心症の場合、一般的には動いたときの胸痛や息切れなどがみられますが、無症状の場合もあります。
心筋梗塞の場合、突然の胸痛や呼吸困難、失神、心停止など、心筋梗塞の範囲や程度によって様々な症状がみられます。

婦人科疾患

その他に性感染症による肝周囲炎、卵巣の炎症、良性/悪性腫瘍などにより腹痛が起こる場合があります。

下腹部

尿路結石

尿中のカルシウム、マグネシウム、尿酸などが結晶化し石になります。
尿管に詰まると、脇腹から背中にかけての激痛、その強い痛みに伴う吐き気・嘔吐、冷や汗などの症状が見られます。

感染性胃腸炎

ノロウイルス、カンピロバクター、ロタウイルスなどに感染し、胃腸で炎症が起こる病気です。
腹痛、下痢、嘔吐、発熱といった症状が見られます。

過敏性腸症候群

1日に何度も繰り返される急激な腹痛と下痢、便秘などの症状を伴います。20~30代の比較的若い世代での発症が目立ちます。特に腹痛と下痢を伴う場合には、症状が心配で外出が困難になることもあります。

膀胱炎

腎臓での細菌の繁殖によって、炎症が起こる病気です。主な原因としては便秘、水分摂取不足による脱水、排尿を我慢する習慣、性行為などが挙げられます。
腹痛、排尿時痛、頻尿、尿意切迫などの症状がみられます。

便秘症

便の回数が少ないか、出すときに痛みや出血があったり、お腹に不快感を覚えたりすることを便秘症いいます。
腸内に便が溜まると便が次第に腐敗していき、ガスを発生するため腹痛が起こります。

大腸憩室炎

憩室とは、腸の壁の脆い部分が、腸の外側へ向かって袋状に飛び出したもののことを言います。
憩室の中で細菌が繁殖し、炎症を起こすことで発症します。
腹痛や下痢、便秘などがみられます。

虚血性腸炎

大腸の血管が一時的につまることで、大腸壁が虚血に陥り、粘膜に炎症や潰瘍などができる病気です。
腹痛、下痢、血便といった症状が見られます。

炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎/クローン病)

この2つの疾患はともに免疫が関わって発症すると考えられていますが、原因がはっきりわかっておらず厚労省の難病指定を受けています。
腹痛、下痢、血便、発熱などの症状がみられます。

腸閉塞

腸閉塞は腸管が何らかの理由で狭くなったり塞がったりすることによって、腸の内で食べ物や水分、消化分泌液、ガスなどが通過できなくなった状態です。
腹痛(軽度~激しい痛みまで)、便秘、嘔吐、腹部膨満、発熱、頻脈などがみられます。

婦人科疾患

その他に性感染症による肝周囲炎、卵巣の炎症、良性/悪性腫瘍などにより腹痛が起こる場合があります。

腹痛のある方に行う主な検査

胃カメラ検査
(胃内視鏡検査)

胃カメラ検査(胃内視鏡検査)食道や胃、十二指腸の疾患が疑われる場合には、胃カメラ検査を行います。
口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を観察していきます。病変の組織を採取して、病理検査を行うことも可能です。

大腸カメラ検査
(大腸内視鏡検査)

大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査)大腸の疾患が疑われる場合には、大腸カメラ検査を行います。
肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体の粘膜を観察していきます。疑わしい病変の組織を採取し、病理検査を行うことができます。
また、がん化のおそれのある大腸ポリープを見つけた場合には、その場で切除することが可能です。

腹部レントゲン検査

腹部レントゲン検査X線により腸の穿孔や便、ガスの量、各臓器の結石や石灰化などを調べることができます。

超音波検査
(腹部エコー)

超音波によって、肝臓、膵臓、胆のうなどの臓器の異常の有無を調べます。

血液検査

腹痛のある方に行う主な検査 血液検査腹痛を引き起こす感染や炎症、貧血の有無などを調べることができます。

腹痛がある場合は
当院へご相談を

腹痛は、食べ過ぎ・飲み過ぎの時にも起こる、私たちにとって身近な症状のうちの1つです。
しかし、中には疾患を原因として起こる腹痛もあるということがお分かりいただけたかと思います。急激な腹痛、長引く腹痛、発熱や下痢など他の症状を伴う腹痛がある時には、お早めに当院にご相談ください。症状をお伺いし、患者様お一人おひとりに合った適切な検査を行い、疾患の早期発見・早期治療へとつなげます。